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自宅の売却で使える「3,000万円の特別控除の特例」適用される要件を7ポイントでわかりやすく解説

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自宅の売却で使える「3,000万円の特別控除の特例」適用される要件を7ポイントでわかりやすく解説

自宅の売却で使える「3,000万円の特別控除の特例」適用される要件を7ポイントでわかりやすく解説

2023/04/30

子どもが大きくなり今のマンションでは手狭になったので戸建てに引っ越したい。

 

子どもが結婚して家を離れたので、もう少し小さな家にサイズダウンしたい。

 

老後のために資産を整理しておきたい。

 

マンション・戸建てにかかわらず自宅の売却を検討するとき、気になるのがお金のことですよね。

 

不動産の売却は大きな金額となるだけに、利益が出れば税金の額も数十万円、数百万円と大きな負担になります。

 

この記事では自宅の売却で使える「3,000万円の特別控除の特例」について、適用を受けられる要件を7つのポイントで解説します。

 

最大で600万円もの税金が変わってきますので、自宅の売却をお考えの方はぜひ活用を視野に入れてみてくださいね。

 

【「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用される要件】

  1. 自分が住んでいる家屋を売る
  2. 住まなくなった日から3年が経つ年の12月31日までに売る
  3. 家屋を取り壊した場合は1年以内に譲渡契約を締結する
  4. 所有期間・居住期間の長さは関係ない
  5. 住宅ローン控除と併用できない
  6. 自宅を売った年・その前年・前々年に特例の適用を受けていない
  7. 売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でない

 

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは

そもそも、自宅の売却で使える「3,000万円の特別控除の特例」とはどんな制度なのか、最初に理解しておきましょう。

 

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

ここでいう「マイホーム」には一戸建てだけでなくマンションも含まれます。

 

また譲渡所得とは、土地や建物、株などを売却したときに得られる所得です。

 

売却金額がまるごと譲渡所得となるわけではなく、売却金額から資産の取得コストや売却にかかった費用を差し引いた金額が所得となります。

 

今回の3,000万円特別控除は、マイホームを売却した際に譲渡所得を最大で3,000万円抑えられる制度です。

 

譲渡所得を抑えられると、税金も抑えられるメリットがあります。

 

土地や建物を売ったときにかかる税金

マイホームを売却した際に発生する税金は次のように計算されます。

 

◆譲渡所得の計算方法

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

 

譲渡所得がプラスになった場合は、課税の対象となる譲渡所得「課税譲渡所得」を計算します。

 

◆課税譲渡所得の計算方法

課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除額

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除では、上の計算式の「特別控除額」が3,000万円になるわけです。

 

 

 

税額は課税譲渡所得金額に一定の税率をかけて計算します。

 

土地や建物を売ったとき

 

土地や建物を売った場合、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるか否かで「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかが分かれ、それぞれ税率が異なります。

 

たとえば2017年4月に買ったマイホームを2022年12月に売る場合、売るときには取得から5年経過していますよね。

 

しかし税制上は「売った年の1月1日時点で5年を超えるかどうか」で判断されるため、この場合は短期譲渡所得となり、税金は所得税と住民税あわせて39%の税率で計算されます。

 

ここまでのおさらいをかねて、もう1例考えてみましょう。

 

2000年に取得したマイホームを2023年5月に売って、譲渡所得が3,000万円になったとします。本来であれば3,000万円×20%(長期譲渡所得にかかる税率)=600万円の税金が発生しますね。

 

ここで特別控除を適用できると

課税譲渡所得=3,000万円(譲渡所得)-3,000万円(特別控除額)=0円となるため、税金が発生しません。

 

譲渡所得が3,000万円以下であれば税金がかからず、最大で600万円が浮くと考えるとメリットはとても大きいと思いませんか?

 

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用される7つのポイント

 

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除、適用を受けるにはいくつか要件があります。

 

国税庁のホームページでも確認できますが、少々わかりにくい部分も…。

 

今回はポイントを7つにまとめました。

 

  1. 自分が住んでいる家屋を売る
  2. 住まなくなった日から3年が経つ年の12月31日までに売る
  3. 家屋を取り壊した場合は1年以内に譲渡契約を締結する
  4. 所有期間・居住期間の長さは関係ない
  5. 住宅ローン控除と併用できない
  6. 自宅を売った年・その前年・前々年に特例の適用を受けていない
  7. 売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でない

ひとつずつ説明していきます。

 

1. 自分が住んでいる家屋を売る

 

自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

人によっては「あたり前じゃないか」と思うかもしれません。

 

しかし、次のケースはどうなるでしょうか。

 

静岡にマイホームを買い、奥さまとお子さんが住んでいる。

 

ご主人は愛知に単身赴任していて、平日は愛知で働き、週末に静岡のマイホームに戻る生活を送っている場合です。

 

静岡のマイホームの所有者はご主人だとして、ご主人がおもに住んでいる「自宅」は静岡と愛知、どちらになると思いますか?

 

この場合、ご主人がおもに住んでいるのは静岡の自宅と判断されます。

 

週の半分以上を愛知で生活しているものの、愛知にはあくまで仕事のために住んでいると判断されるからです。

 

住民票を愛知に移していたとしても、おもに住んでいる自宅は静岡という判断になります。

 

したがって静岡のマイホームを売った場合には3,000万円の特別控除が適用されます。

 

注意点:住んでいても適用を受けられない3つのパターン

実際に自分が住んでいる家屋だったとしても、次のパターンでは特例の適用が受けられません。

 

(1)この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋

(2)居住用家屋を新築する期間だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋

(3)別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

注意したいのは(1)です。

 

たとえば近所にとても安い売り物件が出ていたとしましょう。

 

あなたにはすでに住んでいる自宅が別にありますが、「将来値上がりするだろう、高く売れるだろう」と目をつけてその物件を購入しました。

 

購入した物件に1年間住んで売却したら、予想どおり高く売れて1,000万円の譲渡所得を得ました。

 

ここで3,000万円の特別控除を利用しようとしましたが、税務署から「あなたははじめから特別控除の特例を利用しようとして、売った物件に住んでいましたね?」と捉えられれば、特例の適用除外となります。

 

客観的・合理的な理由を筋道立ててきちんと税務署に説明できれば適用されるケースもあるようですが、お伝えした例のように「抜け道」としての利用はあまりおすすめできません。

 

2. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る

 

なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

分かりにくいと思うので、また例を使って解説しますね。

 

Aさんは現在、東京の自宅に住んでいますが、親御さんの介護でご実家に戻ることになりました。

 

2023年5月にご実家へお引越しされ、「東京にはいつ戻れるかわからないから、東京の自宅を売ろうか」と考えます。

 

2023年の5月にご実家へ引っ越したので、2026年の5月で東京の自宅に住まなくなってから3年が経ちますね。

 

適用要件は「3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る」なので、Aさんの場合は2026年の12月31日までに東京のご自宅を売却すれば3,000万円の控除が受けられます。

 

3. 家屋を取り壊した場合は1年以内に譲渡契約を締結する

 

(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です

イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

戸建ての自宅だと、土地と建物がセットになっていますよね。

 

このうち建物を解体した場合には、特例を受ける条件が少し増えます。

 

たとえば親御さんから相続した戸建てに住んでいるBさんは「この家も古くなってきたし、ひとりで暮らすには広すぎるなあ。売ってもう少し小さい賃貸に引っ越そうかなあ」と考えました。

 

賃貸に引っ越した後、「あの家はかなり古いし、更地にしたほうが売主が見つかりやすいだろう」と戸建て部分を解体します。

 

このように建物を解体した場合には、「解体した日から1年以内に譲渡契約を結ばなければいけない」ことと定められています。

 

不動産を売る際には、まず譲渡契約を結び、売った土地に対する測量を売主の責任でおこなわなければいけません。

 

建物が解体されていると測量に時間がかかる可能性があるためです。

 

Bさんが2023年5月に賃貸へ引っ越し、2023年11月に元住んでいた自宅を解体したとしたら、

  • 2024年11月までに譲渡契約を結ぶ
  • 2026年12月31日までに買主へ所有権を移転する

上の2点をクリアすることで、3,000万円控除の特例を適用できます。

 

4. 所有期間・居住期間の長さに関係なく適用できる

「マイホームを購入して実際に住みはじめたけれど、事情があって3ヵ月で引っ越し・自宅を売却することになってしまった」こういった場合でも、3,000万円特別控除の特例は受けられます。

所有期間の長さによって変わるのは、所得の区分と税率です。

土地や建物を売ったとき

 

先述の土地や建物を売ったときにかかる税金にて解説しましたね。

 

土地や建物を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるか否かで「長期譲渡所得」か「短期譲渡所得」のどちらかに区分され、上の図のように税率が異なります。

 

5. 住宅ローン控除と併用できない

 

※(特定増改築等)住宅借入金等特別控除または認定住宅新築等特別税額控除については、入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。

また、入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年中に、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる資産以外の資産を譲渡し、この特例の適用を受ける場合にも、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

「住宅借入金特別控除」が、いわゆる「住宅ローン控除」を指します。

今住んでいるご自宅を売って、売却によって得た資金を元手に次の家屋への住替えを考えるといったケースは少し注意が必要です。

 

次の家屋を住宅ローンで購入している場合、住宅借入金特別控除(住宅ローン控除)が利用できます。

 

居住の用に供した年

控除期間

各年の控除額の計算

(控除限度額)

2022年1月1日~2023年12月31日まで

13年

1~13年目

年末残高等〔上限3,000万円〕×0.7%

2024年1月1日~2025年12月31日まで

10年

1~10年目

年末残高等〔上限2,000万円〕×0.7%

(注)適用対象となる住宅は、一定の期日までに建築確認を受けたものまたは一定の期日までに建築されたものに限ります。

No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 より一部抜粋

 

たとえば新しいマイホームを2,000万円の住宅ローンを組んで買い、2023年5月から住みはじめたとしましょう。

 

すると13年間にわたって、住宅ローンの年末残高×0.7%の額が所得税・住民税の額から控除されます。

 

住宅ローン控除とマイホームを売ったときの3,000万円の特別控除は併用できませんので、両者を比較して、有利になるほうを選択しましょう。

 

6. 自宅を売った年・その前年・前々年に特例の適用を受けていない

 

売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除は3年に1度しか利用できません。

 

なかなかないとは思いますが、たとえば2021年にこの特例を利用していて、2023年にまたマイホームを売ったとしましょう。

 

前々年である2021年にすでに特例の適用を受けているため、2023年の売却分については3,000万円の特別控除が適用できません。

 

売った年・その前年・前々年にマイホームの買換え特例を受けている場合も同様です。

 

ほかにも適用されないケースがあるため、税務署や税理士さんにご確認ください。

 

7. 売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でない

 

売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 より引用

 

この場合の「特別な関係」とは税務上の特別な関係を指します。

 

配偶者や直系血族(お子さんなど)が買主となる譲渡では本特例が適用されません。

 

ただし生計が別であれば、たとえ買主が親族であっても問題ありません。

 

たとえば、すでに結婚してご自分の家庭を持っているCさん。

 

Cさんの両親が「この家は夫婦2人で住むには広すぎるから、売って引っ越そうと思っている」と相談してきました。

 

Cさんは「うちはもうすぐ子どもが生まれるし、そういうことならこの家は僕が買うよ」と申し出ます。

 

Cさんのご両親とCさんは別生計で生活していますから、ご両親がCさんにご自宅を譲渡したとしても、3,000万円の特別控除の適用対象となります。

 

また「特殊な関係のある法人」も頭に入れておきましょう。簡単にいうと、買主が同族会社である譲渡は適用対象外となります。

 

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受ける手続き

 

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例を受けるためには

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

を添えたうえで、確定申告が必要です。

 

なお申告期間は毎年2月中旬~3月中旬で、電子申告・郵送・税務署で直接おこなう方法があり、所轄の税務署に申告します。

所轄税務署はこちらのページから簡単に調べられます。

税務署の所在地などを知りたい方|国税庁

 

マイホームを売るなら3,000万円の特別控除の特例が適用できるか検討しよう

 

不動産を売って譲渡所得を得た場合、税金の負担が大きくなる可能性があります。

 

マイホームを売る場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できないか、検討してみてください。税金が最大で600万円変わるため、適用できれば税負担を大きく軽減できます。

 

またご自宅を売るとなれば「できるだけ高い値段で売りたい」、「できるだけ有利な条件で売りたい」と思いますよね。

 

弊社は相続・離婚・住替えなどさまざまなご事情を抱えたお客さまのお取引きを数多くサポートしてまいりました。

 

どんなご依頼でも親切・臨機応変にご対応いたしますので、不動産売却でお悩みの方はこちらのお問合わせフォームから気軽にご連絡ください。

 

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